東京高等裁判所 昭和24年(新を)618号 判決 1950年3月04日
被告人
福島歌次
外二名
主文
本件控訴はいずれもこれを棄却する。
理由
弁護人柴崎四郞の控訴趣意第一点について。
(前略)次に所論は仮りに詐欺罪が成立しないとしても被告人等は各独立して小運搬業を営んでいたものであるからその運搬途上の本件玄米は被告人等にその占有がある。從つて被告人等の本件所爲は橫領であるのにこれを窃盜と認定した原判決には事実誤認があるというにある。しかし被告人等は前述の通り秩父通運株式会社の常傭として運搬に從事していたものであるから本件玄米についての所謂運送人でない。從つて本件玄米の占有するものではないから本件被告人の判示所爲は窃盜であつて橫領の罪を構成するものでない。從つて原判決には所論のような事実誤認はない。論旨は理由ないものである。